028753 ランダム
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.hack//virus [寄生汚染]

僕はこんなことになるなんて思ってなかった…
親友を選ぶか世界を選ぶかの二択に迫られるなんて…


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部屋はタイピングのカタカタと言うリズムが良い音に包まれる
「よし!やっと出来た!後はキャラのジョブとステータスと服装だな」
僕の声はそのリズムを壊すように…響きはしないが…
僕が今やっているのはオンラインゲーム『The World』の登録だ。
このゲームはCC社によって2007年(現在2012年)に作られた結構長い間人気のゲームで、以前とんでもない事件があったけれど、現在はプログラムを全て一新して問題はまったく無いらしい。
そしてこのゲームを始めた理由は親友の一海(カズミ)に誘われたからだった
やっとキャラのデータが完成した。
職業は双剣士、ステータスはバランスがよく割り振り、余りは物理攻撃を少し多めにした。
服装は黄緑色で落ち着いた感じ
以前ザ・ワールドでウイルスと戦ったと言う英雄カイトの服装の色違いである。
名前はカオス

僕はまだ知らなかったんだ…
この格好付けまくって作ったPCがあのカイトと同じ使命を持つことを…


dream

ザ・ワールドに登録した前日の夜に僕は不思議な夢を見た。
文字だけしかない夢
文字は手紙のような書き方で特に理解できないという事も無いが何を伝えたいのかわからない
手紙はこう書かれていた。

あなたに使命を
この世界の運命を
でも、あなたの力が全てじゃない
全ての力で運命を変えるの

とりあえず今日は学校が休みだし
昨日は登録で終わったザ・ワールドを開こうとPC(パソコン)の前に座り込む
『新着メール四通』
――誰だろう…
一つはCC社からの登録確認だ。
もう一つは一海だ
『Δ隠されし 闇の 扉』か『Δ萌え立つ 過ぎ越しの 草原』へ行かないかと言う誘いだ
OKとPC名を書いて返信した。
後二通は知らない人だ…
「!?」
僕は驚きすぎて声にならなかった。
送信者.hacker
内容は夢で見たものと同じだった…
もう一通はもう何がなんだかわからない
文字化けしまくったメールだ
――気にしてちゃゲームが出来ない!きっと間違いだ
自分に無理やり言いつけてログインした。
水の都マク・アヌのカオスゲートにはカイと言うPCが立っていた。
「よぉ!」
カイは片手をちょこっと上げて声をかけて来た
すると僕の顔を覗き込み不思議そうに見つめた
「へぇ…カイトの色違いのPCか…カッコイイじゃんw」
「えっと…あの~…誰ですか?(苦笑)」
戸惑う僕を見てカイは顔がにやけだした
「ハハハwそっか!名前教えて無かったけ?お前の親友さw」
「え?一海?」
「ちょっと~、この世界では俺は『カイ』なの!その名では呼んじゃダメ!」
「(笑)」
「まぁそれはさて置き…どっち行こうか?」
「『Δ隠されし 闇の 扉』が良いな。何かカッコイイし(笑)」
「レベルちょっと足らないけど…大丈夫かな」
「大丈夫だって!こっちで死んでも現実で死ぬわけじゃない」

――カッコイイかで何か単純なことで選ぶ物じゃなかった…
――これが事件の始まりだったから…


Data drain

僕のPCは当然レベル1
カイのPCはレベル3だ
そして、エリアレベルは4だった
属性は火
カイは水の魔法が使える装備をもってるらしいからそれを装備して
念のため回復アイテムをたくさん買ってそれを僕にも少しくれた。
エリアにつくとそこは砂漠だった。
「レベル足らないからまずそこらへんでモンスター倒してレベル上げてからダンジョン行こうぜ!」
「分かった」
「俺はカオスに付いて行くからどんどん進んでくれw」
操作の説明をしてもらいながら僕はどんどん魔方陣を開けては魔物を倒した。
気が付けばカイは4レベル、僕は3レベルになっていた。
「もう全部倒したからダンジョン行こうか」
「よし!行こう!」
ダンジョンの入り口は人の口みたいで気味が悪かった。
中に入っても肉壁ばかりで時々骨が見える。
「レベルも上げたいだろ?」
カイの言葉に頷いた僕をカイが見るとカイは『妖精のオーブ』と言うダンジョンが隅々まで分かるアイテムを使った。
「これがあればそのフィールドにある魔方陣が分かるから先にDOWNを見つける事が無くなるんだ」
「へぇ…」
僕達は一階一階モンスターを殲滅しながら歩く
すると『魔方陣ALL OPEN』と出た。
「よっしゃ全部開けたぜw」
「やったね」
「んじゃ~、神像行くか」
「神像?」
「見れば分かるって」
カイに案内され宝箱の後ろに石造が浮いてる部屋に来る
――なんだコイツ…モンスター?
ちょっと引き気味に後ずさりするとカイが笑い出した。
「ハハハハwビビってんのか?大丈夫w襲ってこないからw」
――ホントなのか?
取りあえず宝箱を開けた時に襲い掛かってきたら怖いから双剣を構えながら宝箱を開ける。
中身は売るとお金になるアイテムだけだった。
――襲ってこない…てか、落ちたじゃん…(笑)
「(笑)」
FDMが笑ったのを受け取ってしまった。
記号化された笑いだがしっかりとマイクが取って声となってゲーム内に流れる。
「よし、ダンジョンを出よう。って…精霊のオカリナ忘れた…w」
精霊のオカリナとはダンジョンを脱出するアイテムである
それを忘れたとなると歩いて帰らなくてはならない
「はぁ…(笑)」
「ゴメンゴメンw」
ダンジョンを歩いているとまだ入ってない部屋があることに気が付いた。
僕達はそこへ向かった。
――どうしてだろう…行かなきゃ行けない気がする…
入った瞬間ものすごいノイズが走って目がチカチカした。
ノイズが弱くなるとそこには一人の女の子が居た。
白い髪に白い肌に青い目に白いドレス…真っ白な女の子だ
死んでるんじゃないか?そう思わせるような顔…
突然女の子は口を開いた…
「ダメ…来てはダメ…ここに来る人は辛い使命を持つことが出来る人だから」
――たかがゲームで使命?いったい何の…
またノイズが酷くなって来た。
「もう遅いみたい…あなたに託す…あの人に似た人…」
そう言うと女の子は僕に本を渡してきた。
それを受け取ったはず無いのに何故か重要アイテムの中に入っている。
「え?どうして?」
「来る」
「これは一体何なの?何が来るの?」
女の子は何も答えずに消えてしまった…
「カオス!助けてくれ!このままじゃやられる!」
カメラを後ろに向けるとそこには巨大な剣を両手に持ったローブを着た男がカイに襲い掛かっていた。
男は右手の剣を閉まった。そして右手を掲げ腕輪のようなものが光り始める…
僕は手が震えてコントローラを落としてしまった
腕輪からは光の矢放たれカイを貫通した。
貫通した瞬間カイは倒れこみ転送リングとはまた違う丸い物がカイを包んだ。
「うわぁぁぁぁ!!!何だこれは…嫌だ死にたくない…死……」
「どうしたんだよカイ!返事しろよ!カイ!カイ!」
男はその腕輪を僕にも向けてきた。
――嘘だろ…?
「いやだぁぁぁぁ」
突然カオスの周りに転送リングが現れる…
何故か水の都マク・アヌへ戻っていた。
僕は急いでログアウトしFDMを投げて走り出す。
――何があったのか確かめなきゃ…
一海のお母さんの話によるとまだゲームをしているはずらしい
一海の部屋に行けば一海は気が付くだろうから部屋に言ってみればと言われた
階段を駆け上がり二階の一海の部屋へ向かう。
部屋の扉を開けた瞬間僕は目が点になった…
部屋は『The World』の肉壁ダンジョンのような部屋になってそこに一海が倒れていた…


Irregular

『The World』
誰もこんなゲームなんて想像しなかっただろう…
イレギュラーなモンスターがいてそのモンスターの光の矢に撃たれるとその部屋がそのステージと同じになり意識は遠のいていく…
一海が倒れたところを見るとそう見える。
ゲーム以外原因が考えられない。
病気を持ってる何て聞いたことも無いし一海は人一倍健康体だった。
――原因を突き止めなきゃ…一海を助けるんだ!
怖いけど僕は決心した。
だけどこの日は『ザ・ワールド』にログインしようとすると手が止まってしまう…
明日からにしよう…

今日は学校だ。
いつも一海と笑いながらの楽しい登校なんて無かった。
拓実(タクミ)が僕の元へ駆け寄ってくる
一海、タクミ、僕一緒に登校する姿は近所中有名だ
「なぁ…文也、一海はどうしたんだよ。あいつが休むなんてありえない」
そう言えば一海は今まで皆勤賞を取り続けてきた。
小学校の頃から無遅刻無欠席だ。
僕一人では抱えきれなかった。
だけど言うのはどうかと思ったけど昨日の事を全て話した。
タクミは頷きながら聞く。
「なるほど…お前だけが『ザ・ワールド』に行って原因を探すって言うのはおかしいな」
「でも、関係ない人を巻き込んじゃ…」
「俺が行くって事さ」
「え!?」
「意識不明になるときは一緒だ」
「そんな!嫌だよ!タクミ!君まで意識不明になったら」
「気にするな!俺は一度決めたらもう変えないぞ!」
「……」
仕方なく僕達は今日の夕方に『ザ・ワールド』合う約束をした…




いつも退屈で辛い授業がいつもより辛い
原因は一海が欠けているから
授業が終われば皆『The World』の話を始める。
僕と一海と拓実はそれを聞いていて「いつかプレイしよう」と話していた。
三日前、三人で始めようと言う話だった。
しかし、タクミはまだ無理だと言って僕と一海に先にやるように言った。
僕はタクミを待ちたかったが無理やり一海が登録しろと言うから昨日登録した。
今日から僕らも『ザ・ワールド』の話が出来るはずだった。
それが一海一人居ないだけで…

やっと全ての授業が終わると僕は駆け足で家へ帰った。
すぐさまPC(パソコン)の電源を付けタクミにマク・アヌに居るとメールを送りログインする。
マク・アヌに着くと一人の女呪紋使いのPCが突然話し掛けてきた。
名前は『クリス』と言うらしい
格好は漫画に良く出てくる魔法使いのような格好。
トンガリ帽子に紺色のワンピース
「うにゃ?君初心者だねぇ~?」
――声たけぇ…
「は、はい…」
「あはw困ってる困ってる♪あたしも初心者だよ~」
「そ、そうなんですか?」
「ちょっと~タメ(タメ口)で話してよ~」
「うん…(笑)」
「よし!君は今日から友達!一緒にレベ上げ頑張ろう!」
そう言うとクリスはメンバーアドレスを無理やり渡してきた。
――なんたって僕の周りにはこんなに無理やりの人が多いんだろう…
仕方なくメンバーアドレスを受け取ると転送リングが現れ『イタチ』と言う武士型重剣士が現れたと思ったらその武士からショートメールが来た。
『よぉ~カオス』
『タクミ?』
『そうだよ(笑)』
『解った、んじゃどこ行く?』
『Δ隠されし 闇の 扉 で原因を確かめよう』
『…解った』
立ち止まってるカオスとイタチを見てクリスが腕を組んで子供を叱るかのように怒った
「コラそこ!二人でヒソヒソしない!あたしも誘いなさい!」
イタチが困った顔で僕を見る
『だれ?』
『クリスさん…今知り合った(笑)強引な人だから一緒に行かないとマズイかも』
「さ~てと、どこ行くの♪」
「とりあえず、『Δ隠されし 闇の 扉』って所」
「OK~(^^)」


A D knotweed lied

フィールドに着くと昨日までのフィールドとは打って変わって、亀裂や焼け跡のような跡やらがたくさんあった。
まるでこのフィールドを半壊させられたように…
転送された場所は意外とダンジョンに近くすぐ行けた
『快速のタリスマン』と言う移動速度が上がるアイテムを使って急いで先に進む
本当にクリスさんを連れてきて良かったのだろうか…
本当にタクミを連れてきて良かったのだろうか…
一海がやられた場所まで後少しのところで僕は立ち止まってしまった。
クリスは急に止まったカオスに気が付かずぶつかった。
「ど~した!カオス(><)」
「あのさ…クリスさん…」
――ここは事情を説明して危険だから帰ってもらおう。
僕はこの先に危険な敵がいてその敵にやられると意識不明になる事を話した。
信じてもらうためにカイがやられて意識不明になった事も
「へぇ~君って物語作るの上手なんだねぇ~」
「いや…だから!」
「あたしは平気だよ~」
「・・・・・・」
とりあえず今は原因究明だ
『精霊のオカリナ』も持ってきた。
いざとなれば逃げられる!
そしてあの部屋にやってきた。
――何だこれは!
以前は無かった紫色の霧…
「この先にカイは…」
イタチが刀を片手に持ち走り出す
そして、イタチは霧の中へ消えていった…
「まて!イタチ!」
「あたし達も行こうよ♪」
そしてクリスも消えてしまった。
――どうしよう…何かある気がする…でも行かなきゃ…

霧の中に入るとこの前とは違う敵が居た
ドラゴン型のモンスターだがあちこちに六角形の発光体がある
「何だコイツ…この前はこんなの居なかったのに…」
名前は#ラ*
文字化けしていて何が何だかわからない…
イタチは刀を強く握り締めまた走り出す
「コイツが!コイツがカイをォォォ!」
刀で切ってもMISSばかり
絶対このままでは倒せない…

――本を…
突然視界が真っ暗になった
その真っ暗の中にあの女の子の声が響く
――本を使って…
あの時もらった本の事だ
僕は重要アイテムからあの時もらった本を選ぶ
今まで見てなかったから解らなかったけどどうやら『消去の力の書』と言うらしい
――あの人と似たもっと強い力を…破壊にも救いにもなる力を…
本を開くとカオスの身体はデータ化され戻ったと思ったら帽子が消え服装は真っ黒になり背中には悪魔のような羽が生えていた。
「何だ!?これは一体…」
しかも、体が勝手に動き右手から腕輪が出てきた
羽は腕輪とくっ付き#ラ*に向かってあの男が使った光の矢が放たれそれが、#ラ*を貫通すると、六角形の発光体が消え普通のモンスターへと戻った。
名前もドラコとなった
「今だぁ~倒せるよぉ☆」
僕達はSPの消費を恐れずスキルを使いまくった。
「舞武!」
僕のSPが尽きた瞬間ドラコも何とか倒れてくれた。
「はぁ…何とか倒したなぁ」
「君スゴイねぇ~敵のデータを書き換えちゃうなんて~w」
「これってそういう事だったのか…」
「って言うか~さっきの倒せない敵が居るって言う事がホントだったのに驚き~」
「だからさっきから本当って言ってるのに…」
「まぁそれはともかく、特に何も収穫が無かった。タウンへ帰ろう」


school

あの後は不思議なことが起こった。
まず、僕はアイテムを買い足すためにショップへ向かった。
皆は僕より先にログアウトするためパーティを解散しようと言う話になり、解散した瞬間、背中の羽が消え腕輪も見えなくなった。
一体どういうことなんだろう…
パーティを組むことで見えるのだろうか…
それとも何か他の理由が?
次にまた『.hackers』からメールがきた
――腕輪の加護を受けたのね…
あなたは使命を持つ事になったわ
持つことは決まっていただけどね
今、加護を受けているのはあなたを合わせて3人
まだ足りないわ…
腕輪の加護?
どうしてあの腕輪の事を知ってるんだろう…
この人はどうして一海が意識不明になったのか知ってるんじゃないか?
そう思った僕は
――あなたは腕輪や意識不明について何か知っているのではないでしょうか?
何か教えてください。
と返信した。
PCを付けっぱなしにして返信を待っていたが来る事は無く、そのまま眠ってしまった。

次の日の朝
返信が来ていた。
――今は何も言えないの…ゴメンナサイ
楽園が完成するまで待っていて
楽園?
また訳のわからない内容だ…
僕は.hackersからのメールをずっと考えたまま学校へ向かった。
一海の家はまだゲームが寄生しているように肉壁の部屋だ
外からでも見上げるとわかる。
一海の家を見上げているとタクミが僕の横へ来た。
「一海の事については何も解らなかった事が悔しい…」
「僕だってそうさ…」
僕達は重い雰囲気を漂わせて学校へ向かった。
空っぽな一海の席を僕はじっと見つめていた。
――いつになったら帰って来るんだよ…
今日はテストだったが答案はボロボロだった。
昨日はテスト前のため部活が休みだったけど、久しぶりの部活だ。
僕と一海とタクミはサッカー部に所属していて、僕達のコンビネーションで、一年生だけの他の高校でやった練習試合でゴールを3本も決め、チームに貢献した。
少人数しか居ない先輩にも見込まれ、3人で控えの選手にもしてもらえた。
だけど、それも一海が居ないから難しい…
総体も近いから早く帰ってきてほしい…
そのためにも今は『The World』で謎を解くしかない
意識不明について何か少しでも解れば救いになるはずだ!
今日は先輩と僕とタクミでのコンビネーションプレイを練習した。
いざ帰ってこなかったらと言う最悪の状況に備えて…

意外と練習はハードでクタクタになりながらも家に着くとPCの電源を入れ『ザ・ワールド』にログインしようとした。
「ん?メールが来てる…」
送信者 .hackers//ヘルバ
件名 エリア指定
――『Δ少女追う 黄昏の 旅路』へ来て。何か感じる。
僕はこのワードをタクミに送り、ログインした。


A way

転送リングがカオスを作り出すかのようにカオスの形が見えてくる。
「よぉ!」
「クリス!?」
マク・アヌにはカオスを待っていたかのようにクリスが立っていた。
「何よぉ!居ちゃ悪い?」
「いや…そうじゃないけど…」
――また付いて来るって言うんだろうなぁ…
「んでぇ~どこいくの?」
予想通りに言葉を言うクリス
カオスはしぶしぶ口を開いた。
「『Δ少女追う 黄昏の 旅路』って所なんだけど…ちょ」
「行く!」
クリスが言い切る前に叫ぶ
――ちょっと危ないからこないほうが良いよって言おうとしたのに…
話しているとイタチが転送リングから現れた。
「良し!全員集合したなぁ~」
クリスはもう行く気満々だ。
止めたいけれどクリスからパーティ希望が来てしまい、入った。
何故か羽は生えない…
断るのも変だし仕方なく入って『Δ少女追う 黄昏の 旅路』へ向かった

エリアレベルは8
カオスのレベルが9
他の二人は僕より少し下ぐらいだ。
何とかなりそうだ。
後はあのローブの男が出てこなければ良い。
ダンジョンは転送されたところから遠く、結構経験値が貰えたがレベルが上がるほどではなかった。
ダンジョンは城壁のフィールド
カオス達ははしゃぐクリスの相手をしながら一つずつ階を下っていく
地下五階についた
いつまでダンジョンは続くのだろうか…
ヘルバは何処に居るんだろうか…
部屋は後一つ
運悪く居ない部屋全てを回ってしまったらしい
カオス達はその部屋へ向かった
「ここに…ヘルバが…」


hacker

部屋に入った瞬間、とてつもないノイズが走る。
気絶してしまいそうな点滅数だろう。
見ていると気持ちが悪くなる。
文也はFDMを外し、耳を当てて音だけを聞きノイズが治まった辺りでまた付け直した。
付け直したらカオスの背中には羽が生えていて、フィールドは岩の上のようなフィールドに変わっていた。
あちこちに岩が浮いている
「何ぃ~コイツ~」
クリスはあのローブの男を指差していた。
「こんな敵見たこと無い、きっといいアイテムかいい経験値が貰えるんだわ!」
ポジティブに解釈したクリスと真逆に手を震わせ、落としたコントローラーを拾えない自分が憎い。
止めたいけど声も出ない。
止められない自分がもどかしい
『やらないとあなたまで意識不明になっちゃうわよ』
大人の女の人っぽい口調でショートメールが届いた
相手はヘルバ
『ヘルバさん…どうすれば助かるんですか…』
『戦いなさい』
『攻撃してて[PROTECT BREAK OK]とログに表示されたらあの技を使って』
戦いなさいといわれても怖い
戦ってまたあの技をやられたら…
「おい!カオス!いくぞ!」
「あいつだろ?カイをやったのは」
イタチがカオスに怒鳴る。
カオスはアクションコマンドで頷いた。
「あいつを倒せば何かヒントになるかもしれない!もしかしたら帰ってくるかもしれない!それでもやらないって言うのか!怖い怖いで怯えてたら俺達まで意識不明になるぞ!」
――そうだ…僕は腕輪の力を持っている。ローブの男と同じ技。きっと対抗できるはず。
「うわぁぁぁ!」
カオスは気が狂ったかのように攻撃をした。
イタチはそれに続き攻撃に参加する
HPが少なくなってきたため、クリスは攻撃から回復へ回った。
【PROTECT BREAK OK】
――来た!
光の矢が飛ばされる
しかし、外れてしまった。
外れたというよりよけられた…
矢は岩に当たり岩は数列と変わった。
――もう…ダメだ…
「!?そうだ…僕は腕輪の力を持っている。ローブの男と同じ技。きっと対抗できるはず。」
画面に一箇所だけ亀裂が入りローブの男がその中に消えてしまった。
「た、助かった…」


Winning

腰が抜けてしまった
負けるだろうと考えていたから尚更だ。
「なぁ、上から人が降りて来るぞ」
「え?」
見上げると天使のような格好をした女の人が降りてきた。
「はじめまして、あたしがヘルバよ」
「は、はぁ…」
さすがハッカーだ
PCもイレギュラーである。
「あなたは戦わなければいけないわ」
「戦うってあのローブの男とですか?」
「それもそうだけれども、まだたくさん居るわ。もっと強いやつらばかり」
「それが、カイを…意識不明になった友達を助ける事に繋がるんですか?」
「言い切れないけれどきっとそうだわ」
もう文也は意を決した。
戦おう!カイ…一海の為に!
「戦います」
「わかったわ、だったら協力してあげる」
「なら、次は何処に行けば良いんですか?」
「そう焦らないで、メールでエリアを指定してあげるから待ってて」
「はい」

マク・アヌに戻ってきた
戻れたと言った方が正しいのかもしれない
やっぱりパーティを解散しないと羽は消えない
一体この羽は何なんだろう…
アイテムを一通り買ってログアウトした。
一通メールが来ている
そのメールで予想できたのかもしれない…
マク・アヌで起こる悲劇を


A garbage


送信者:ア*#
件名:羽に&い%
本文
届い#るよ$
羽はζ険をしら¥てくれるo
まだ未√成
危‰を察αには`まだ力が足ら※い
わたしは壊ゞたかもしΨな†oわたしは壊ゞたかもしΨな†oわたしは壊ゞたかもしΨな†oわたしは壊ゞたかもしΨな†oわたしは壊ゞたかもしΨな†oわたしは壊ゞたかもしΨな†oわたしは壊ゞたかもしΨな†oわたしは壊ゞたかもしΨなoわたしは壊ゞたかもしΨな†oわたしは壊ゞたかもしΨな†oわたしは壊ゞたかもしΨな†o

酷い文字化けだ…
でも、無理矢理にでも文字を入れ込めば…
「まだ未完成?わたしは壊れたかもし?」
全く解らない…
そう言えば、部活のマネージャーの春山先輩は頭が良いらしい
明日聞いてみよう。
文也はこのメールをプリントして布団に入った。

珍しく早起きだ。
朝練の為に早起きと親には言ったが朝練開始時間まで後40分ある。
家から学校まで20分。
春山先輩は25分前にはもう居るから今出れば丁度良い。
早起きは向いていない。
眠いし頭が痛くなる。
でも、今日は先輩に昨日の事を聞いたら、もしかすると一海を助ける手助けになるかもしれない。
文也は食パンをかじったまま飛び出した。
早く着いても困るから自転車はいつもと同じスピード。
本当は息が切れるぐらい全力で走りたいけれど…
部室に着くとやっぱり春山先輩が居た
サッカー好きだけれども女子サッカー部が無い為、せめてマネージャーだけでもと言う事で入ったらしい
文也は春山先輩にそれなりに可愛がられているからこう言うのを聞くと言うのも容易いかもしれない。
「先輩!」
「ん?何?」
お金持ちのお嬢様を思わせるようなゆっくり坦々とした口調。
爽やかな顔に一致する。
声からでも顔が思い浮かべそうな感じ
クリスのように高すぎる声よりは良い声だと思う。
「実はこんなメールが届いたんです」
と、文也はプリントした紙を渡した。
「文字化けしてて読めないんです。先輩なら文字化けした所の文字がわかるかと思いまして…」
「う~ん…難しいね」
「そうですか…」
「でも、このoが読み切りの丸だとしたら…」
「え?読めそうですか?」
先輩は首を横に振った。
「けど、この羽がどうたらって所は、『羽が危険をしらせてくれる』じゃないかな?」
「あぁ~…確かにそうですね~」
――危険といえば確かにそうだな、でもマク・アヌは安全じゃないのか?
「ちょっとこの紙もらって良いかな?解ったら電話するから」
「ええ、勿論!よろしくお願いします。」


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